蒙霧升降(ふかききり まとう)
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地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。
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2019年 08月 18日
8月18日は、七十二候の方では39候、立秋の末候、『蒙霧升降(ふかききり まとう)』の始期です。 時に深く濃い霧が辺りに立ち込めて、森や水辺にまとわりつく頃。 「蒙霧(もうむ)」とは、もうもうと立ち込める濃霧のことで、「升降」は「昇降」を意味しております。 夜間に気温がひんやりと下がり、夏の湿気の多い大気や土が冷やされて、白い霧が地上や川から立ち上り、また、濃い霧となって空中から降りてきます。 特に前日に雨が降って大気が湿り気を充分に含んだ早朝の時分など、地表・水面や空中から発生した濃い霧が辺りの風景をまといます。 朝や夕方、ひんやりとした心地よい空気の中で、深い霧が辺りの造形と色彩を奪い、幻想的で情緒的な景観を眼前に創り出します。 霧は、大気中の水分が飽和状態に達し、水蒸気が細かな水滴となって地表や水面の上に浮かんでいる状態ですが、水滴が光を反射・吸収・散乱させて白く見えます。 残暑がまだ厳しい季節ですが、霧は秋の始まりを告げる風景であり、朝夕に少しづつ秋の気配を感じさせてくれます。 時間帯によって、朝霧・夕霧・夜霧などと呼ばれ、発生する場所によって、山霧・川霧・谷霧・海霧・盆地霧・都市霧・沿岸霧などとも呼ばれます。 また、水蒸気が冷やされる際の自然の仕組みに応じて、放射霧・移流霧・蒸発霧・滑昇霧・前線霧・上昇霧などに分類されます。 日本には全国各地に霧の名所が数多くありますが、中でも北海道・釧路は、頻繁に霧が発生する名所として有名です。 夏は約半数の日に霧が観測され、年間では100日に迫るほど霧が発生するそうで、大洋で移流霧として発生した海霧が押し寄せるのに加えて、川からの蒸発霧も合わさります。 また、大分県・湯布院や兵庫県・佐用などは、朝霧の名所として有名ですが、どちらも盆地霧であり、湯布院は金鱗湖からの蒸発霧、作用は作用川(千種川)からの蒸発霧がベースのようです。 七十二候の5候、2月の終盤、雨水の次候は「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」であり、乾燥した冬が終わり、辺りに湿気が戻ってくる季節を表しています。 七十二候では「霧」と「霞」は対照されており、俳句でも「霞」は春の季語、「霧」は秋の季語となっておりますが、一般的には「霧」も「霞」も季節に関係なく使われているようです。 感覚的には「霧」の方が「霞」より濃いイメージですが、気象用語としては、実は「霞」は採用されておらず、「霧」と「靄(もや)」が使われています。 気象庁としては、「霧」は視程(見とおせる距離)が1km未満の場合、「靄」は1km以上・10km未満の場合として、区別しております。 なお、霧の中で視程が陸上でおよそ100m、海上で500m以下の場合は「濃霧」と呼ばれます。 なお、霧は、空気中の水蒸気が冷やされて凝結して発生したもので、大気中に浮かんでいながら地表や水面に接しているような状態を指します。 発生のメカニズムや現象は、雲と同じですが、雲は大気中に浮かんでいて地面に接していないもの、霧は地面に接しているものと定義されています。 山に雲がかかっている場合、麓から眺める人にはあくまで雲ですが、雲がかかった部分にいる登山中の人から見れば山の霧になるのです。 霧が立ち上っていく姿は「霧の香(きりのか)」とも表現され、匂いこそありませんが、お香の煙の様子に例えられます。また、霧が立ち込めた風景は「霧の帳(とばり)」「霧の幕」とも形容されます。 さらに、霧には「細小波(いさらなみ)」という呼び方もあり、空中にゆらゆらと漂って霧がたゆたう様子を小さな波に見たてた表現で、古来、歌などに詠まれております。 霧は、先の見えない不安感や孤立感を呼び起こさせるとともに、神秘性や幻想性を表象させる風景の象徴でもあります。 霧を題材にして、多くの物語や小説、映画や音楽などが創られ、古今東西、数々の名作が生まれており、霧は人々の想像力を自然とかきたてる存在のようです。 人が霧に神秘や幻想に満ちた情緒を感じるのは、視界を遮られたことに不安や孤立を感じながらも、霧の中に見えない何かを感じたり、無意識のうちに想起している世界があるからのようです。 霧は、移ろいやすく、いつの間にか淡くなって消えていく儚いもの、遠からず視界も開けるという予感の中で、霧の向こうに展開するかもしれない景観をいろいろと想像するのです。 人生においても、時に深い霧が立ち込めて、目の前の不安などに苛まれることもありますが、どんなに濃い霧であっても、いつかは晴れるものです。 「五里霧中」の時もあると受け入れる心の余裕を持ち、未だ見ぬ新たな世界を前向きに思い描いて、いずれは不安も「雲散霧消」すると信じて、先を目指して一歩一歩を進めていきたいものです。 地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。 \\\ ぜひこちらも合わせてご覧ください /// ▼運営会社久栄社のサイトはこちら ▼久栄社のFacebookはこちら ▼お問い合わせフォームはこちら
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| 2019-08-18 08:01
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