綿柎開(わたのはなしべ ひらく)
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地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。
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2019年 08月 23日
8月23日から、二十四節気は、処暑(しょしょ)に入ります。「暑(さ)」が「処」=「おさまる、落ち着く」という意味です。 漸く厳しい暑さも峠を越して和らいでくる頃で、朝夕には涼しい風を感じ、少し過ごしやすくなり、虫の音が時折り心地よく聞こえてきます。 七十二候の方は40候、処暑の初候、『綿柎開(わたのはなしべ ひらく)』の始期です。 綿を包んでいる柎(はなしべ)が開き始める頃。柎とは花の萼(がく)のことで、柎が開き始めると、中から白いふわふわとした綿毛が飛び出してきます。 綿は、7月から9月にかけて主にクリーム色の花を咲かせますが、殆ど一日しか持たず、翌日には濃いピンク色になって萎んでしまいます。 花が落ちた後は、蒴果(さくか)と呼ばれる卵型の実をつけ、青い固い実が大きくなっていき、やがて褐色に熟していきます。 綿の実は開花後40~60日ではじけて、柎の間から、もこもこの綿毛が顔をのぞかせます。 綿毛の束は、その真っ白な見栄えの良さから、花でないにもかかわらず、「綿花(=コットンボール)」と呼ばれます。 綿花が飛び出すのは、丁度、この時季からになりますが、綿は開花期が長く、1本の木において1ヶ月以上にわたって花が咲き続けるので、コットンボールが実からはじける期間も長くなり、収穫としては、新しい花も咲き続ける中、栽培した綿花を順次摘んでいく必要があります。 1つのコットンボールは、3~5つの部屋に仕切られており、各部屋には4~8つ程の種が入っています。 綿毛は紡がれて、繊維としての木綿の糸や布になります。なお、繊維を採取した後の種子からは「綿実油(めんじつゆ)」が採られ、食用油として利用されます。 綿は、古くから重要な繊維作物とされ、植物としては「わた」、製品になると「めん」と呼ばれます。 綿の栽培は、メキシコやインドなどでは、紀元前・数千年には源流を辿ることができ、熱帯を発祥の地として、長い時間をかけて温帯へと広がっていったようです。 北ヨーロッパには、中世末期、貿易によって木綿がもたらされましたが、植物性ということ以外に情報はなく、ウールに似ていることから、人々はインドには「枝先に小さな子羊がなる木」があると想像し、『バロメッツ』なる伝説の植物が存在すると考えていたそうです。その痕跡として、ドイツでは木綿を『Baumwolle』と呼びますが、これは「木のウール」という意味だそうです。 日本には、平安時代には伝わっていたものの、気候の違いから栽培の定着は難しく、木綿が栽培され普及するようになったのは、室町時代から戦国時代にかけてです。 江戸時代には栽培と生産・加工の分業も進み、寒冷で栽培に向かない地域が優れた綿織物の産地になるなど、更に盛んになっていったようで、木綿は庶民にも普及していきました。 それまで、庶民は麻の衣類や樹皮などをまとっていたようで、厳しい寒さにさらされていましたが、保温性に優れた木綿が身近なものとなり、人々の暮らしは劇的に改善しました。 木綿は、冬には、その温かさから厳しい寒さを和らげ、夏には、蒸し暑さの中、その吸湿性から汗を吸いとり、また通気性の良さから快適な着心地を与えてくれます。 更に、丈夫で肌触りも良く、洗うほどに馴染むところもあり、大いに生活を楽にする効果がありました。 また染色性や発色性が良いことから、美しい模様や季節感に応じた色の多様性を生み、衣類を着ることの楽しみが広がり、生活の味わいが増したとも言われております。 世界ベースで俯瞰すると、綿の栽培と綿織物の生産に関しては、インドと英国の間での産業革命に伴う関係逆転の流れ、アメリカ南部での綿栽培発展の経緯と南北戦争など、激動の歴史が存します。 日本に関しては、明治以降、国策として綿織物の生産が強化されたこともあり、1930年代には綿織物の輸出量が世界一になったものの、安価な原料流入で日本の綿花栽培は衰退していきます。 日本の木綿の栽培・生産に関しては、手紡ぎで高価な在来綿は廃れ、現在では、国内栽培は殆ど行われておらず、ほぼ100%輸入となっております。 綿織物も、第二次世界大戦後、輸出が復活したものの、安価なアジア産の綿織物に押されて生産量は減少、現在では、繊維産業全体において人件費の安いアジア地域への生産シフトと製品輸入が進展しています。 日本において身近に綿の栽培を感じる機会はなくなりましたが、綿の柎が開き始める頃というのは、数ヶ月に亘って綿花を摘み取る作業がいよいよ始まる頃です。 現代でも、世界規模では合繊繊維に次ぐ大きな生産量を誇り、引き続き身近な存在の綿製品、その恩恵に改めて感謝しながら、綿の持つ特徴、綿栽培と綿織物の歴史にも関心と理解を深めたいものです。 地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。 \\\ ぜひこちらも合わせてご覧ください /// ▼運営会社久栄社のサイトはこちら ▼久栄社のFacebookはこちら ▼お問い合わせフォームはこちら
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| 2019-08-23 08:01
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