鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく)
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地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。
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2020年 01月 30日
1月30日は、七十二候は72候、大寒の末候、『鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく)』の始期です。 鶏が、日脚の伸びに春の気配を感じて、鳥屋に入って卵を産み始める頃。 一年の暦の最後を飾る72番目の候、晩冬のクライマックスには、鶏(にわとり)が登場し、直ぐそこにまで近づいて来た春への橋渡しをします。 一日の周期の中で、暗い夜が明けて朝が来るのを知らせる鶏ですが、一年の周期の中では、長い冬の終わりを告げる象徴として重要な役割を果たしています。 前々回及び前回、小寒と大寒では、初候・次候・末候の3候とも、各々共通するテーマを取り扱っているということで、コントラストを効かせて解説してきました。 今回の末候については、小寒・69候は『雉始雊(きじ はじめてなく)』であり、日本に活きる身近な鳥が主役となり、雉から鶏へと繋いで、いずれも地に足をついた姿にて、春の胎動を伝えています。 「乳」の字は「産む」という意味ですが、「とや(鳥屋)につく」と読ませることで、鶏が産卵のために鶏小屋に入る、すなわち、巣に籠もるという意味を表しています。 小寒には、雉の雄が甲高く鳴き始め、雌への求愛の季節を迎えましたが、大寒も大詰めを迎え、立春を目前にして、雌の鶏が産卵を始める風景に、春の予感が確かに感じ取れるように思います。 鶏は、世界中で飼育されている代表的な家禽であり、養鶏の歴史は古く、紀元前数千年前に遡り、人類が農耕生活を始めて以来の長い歴史と変遷や広がりを持っております。 養鶏の産業化で、今では一年中、卵を食べられますが、もともと自然な状態において、鶏は冬の間は基本的に卵は産まず、産卵期は春から夏にかけてで、日照時間が伸びるに連れて産卵率が上がっていきます。 本来、卵の旬は2~4月くらいであり、寒い時期の卵は、母体の中で時間をかけてゆっくりと成熟していくので栄養価が高いとされます。 寒中に産んだ卵は「寒卵」といいますが、特に大寒の日に産んだ卵は「大寒卵」と呼ばれ、滋養が高いだけでなく、金運や健康運の上がる縁起物とされています。 鶏の起源については、単元説と多元説があり、一般的には、チャールズ・ダーウィンの祖父、エラズマス・ダーウィンの研究を踏まえ、単元説、すなわち、東南アジアの密林や竹林に生息している「赤色野鶏(セキショクヤケイ)」を祖先とする説が知られておりますが、遺伝子解析により、「赤色野鶏」に加えて、南西インドに棲む「灰色野鶏(ハイイロヤケイ)」も交雑しているとする多元説も有力であり、家畜化の過程とも相まって重要な研究テーマの一つです。 赤色野鶏は、容姿は鶏に似てますが、飛ぶ能力も備えた野鳥です。最初に家禽化された目的は、食用ではなく、朝一番に大きな声で鳴く習性を利用することからで、目覚ましや祭祀に用いられ、また、縄張り意識の強い雄の習性を利用して、闘鶏にも用いられました。 その後、間もなく肉や卵が食用とされるようになり、主目的はそちらに移る中で、にわとりの飼育が世界各地へと時間をかけて広がっていったようです。 インダス文明のモヘンジョ・ダロの遺跡からは、にわとりの粘土像・印章と大腿骨が出土しており、鶏の存在を表す最古の証拠と言われております。 鶏は、その後、3方向に分かれて伝播していったようで、西方は西アジアからギリシアへ、北方からは中国に伝わって東方の韓国・日本へ、南方からはマレー半島からインドネシアや南太平洋へと、東西南北の文明へと食文化も含めて伝播が進んでいきました。 日本には、弥生時代に伝来したとされ、「時告げ鳥」として神聖視されていたようです。呼び名は、鳴き声から「かけ」、あるいは、庭にいるので「にわつとり」と呼んでいたようです。 古事記の天岩戸の神話には鶏の記述があり、天の岩戸に隠れてしまった天照大神を「常世の長鳴き鳥を集めて鳴かしめて」引き出そうとした、とのくだりがあります。 毎日毎日、日の出とともに大きな声で鳴くことで、人々に新しい一日の始まりを知らせてくれる鶏ですが、一年という長い周期の中でも、人間には感じ取れない微妙な変化を察知して、いち早く巣籠もりを始め、冬が最終章を迎え、春の気が近づいてきているのを教えてくれます。 来たる2月3日は、立春の前日の節分。節分とは、雑節の一つで、もともとは立春・立夏・立秋・立冬という各季節の始まりの日の前日を指していますが、季節の変わり目に生じると考えられている邪気(鬼)を追い払う重要な日として、室町時代には、特に立春の前日が重要視され、江戸時代以降は、立春の前日の風習として定着していきました。 各地で悪霊祓いの行事が執り行われますが、「豆を炒る」=「魔目を射る」ことで「魔滅(まめ)」に通じる豆撒きを行うなどして、邪気を祓って一年の無病息災を願います。 まだまだ寒い日々が続きますが、暦の上では春の扉の一歩手前、邪気を追い払う習わしと共に、しっかりと心はプロアクティブに切り替えて、新たな季節の始まりを迎えたいものです。 地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。 \\\ ぜひこちらも合わせてご覧ください /// ▼運営会社久栄社のサイトはこちら ▼久栄社のFacebookはこちら ▼お問い合わせフォームはこちら
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| 2020-01-30 08:01
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