菊花開(きくのはな ひらく)
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地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。
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2021年 10月 13日
10月13日は、七十二候では50候、寒露の次候、『菊花開(きくのはな ひらく)』の始期です。 菊の花が鮮やかに咲き始めて、秋の深まりを一段と感じる頃。 寒露の節気は、晩秋の前半にあたり、冷たい露が草木に降りて、辺りがひんやりとした澄んだ空気に包まれる中、初候は、越冬へと「雁渡る」季節の到来を告げ、次回の末候では、戸口に迫る「蟋蟀(きりぎりす)」が冬の忍び寄る寂寥感を表してます。 一方、この次候では、秋を代表する花として「菊」が登場し、秋の深まりに静けさや寂しさも漂う中において、明るく鮮やかな色合いと存在感のある形や香りで、晩秋の風景を豊かな情景に一変させるが如く、気高く咲き誇ります。 七十二候の花シリーズとしては、春は「桃」「桜」「牡丹」と繋がり、夏は「紅花」「菖蒲」「蓮」と連なってきておりますが、秋は、この「菊」が最初で最後、唯一登場する花であり、続く冬でさえ複数の花がテーマとなっていることも踏まえると、この時季、古来、山上憶良が万葉集で詠んだ「秋の七草」も風情があって良いですが、「菊」は別格の秋の花であることに気づく次第です。 象徴的な言葉として、菊の花が咲くこの時季、秋空が青く晴れわたることを「菊晴れ」と呼ぶようです。 菊は、高貴・高尚で別格の存在とされ、古くから最も品格・品位のある花として、晩春の「牡丹」と並んで『百花の王』とも称えられてきました。 日本では、正に秋を象徴する花として、春の「桜」と並んで馴染み深い花であり、生活や文化に深く根差しております。 とはいいながら、実は、日本には野菊と言われる種は多く自生していたものの、私たちが菊と称している菊(キク科キク属)、すなわち、いわゆる栽培菊や家菊は日本自生の花ではなく、中国から伝来してきたものに由来します。 当初は薬用として伝わり、その後、日本文化に深く根づきながら、鑑賞用の花として改良を重ねて珍重されるようになりました。 このように発展してきた日本の菊は「和菊」と呼ばれます。多彩な品種が創られて、食用をはじめ、生活の中にも取り入れられて広まりました。 奈良時代中期以降、平安時代初め頃までに中国から伝来した際は、延寿の力があって邪気を祓う薬草として伝わってきたということです。 漢方では菊は、解毒・解熱・消炎作用があるほか、目の薬として知られ、目の充血や腫れ・痛み、また、視力の低下にも効果があるとされているようです。 平安時代から、旧暦9月9日、今の暦では10月中頃、菊の盛りの頃合いには、宮中では「菊の節句」とも呼ばれる重陽の節句が開かれるようになり、中国の風習に倣い、菊を鑑賞しながら、菊の花を酒に浮かべた菊花酒の盃を交わす華やかな行事を行って、長寿と無病息災を願いました。 その後、五節句の一つとして時代を超えて各地に広がっていき、鎌倉時代初め、後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好んで「菊紋」を皇室の家紋にした頃から、菊の栽培や育種が進みまして、江戸時代には庶民の間にも普及して、日本の秋を象徴する花となっていきました。 菊の花びらは、清涼で上品な香りを感じさせてくれますが、お店に食用菊も出回る時季となり、存在感ある香りとほろにがさを纏った菊花料理で風情と薬効を味わえま す。 観賞用の菊と食用菊は違う種類のようですが、菊は、今でいうエディブルフラワー(食べられる花)として、昔から知られていたわけです。 菊の花びらを浮かべた湯舟に入る「菊湯」や、菊を入れた枕で眠る「菊枕」など、粋な利用方法も知られてますが、風情だけでなく効果もあり、暮らしの中でいろいろ な楽しみ方ができます。 菊は晩秋を彩る季節の花、全国各地で10月から11月にかけて「菊まつり」が開かれ、愛好家も多い中、菊の展示会や品評会も盛んに行われ、「菊見」は秋のお花 見として風物詩の一つです。 高度な「菊づくり」の栽培技術の成果として、品種や色も多種多様で豊富で、花の大きさによっても「大菊」「中菊」「小菊」などがあり、鑑賞用の仕立て方に も様々な工夫が施されます。 平安時代には、「白菊」が和歌に多く詠まれてますが、「移菊(うつろひぎく)」と言って、晩秋の頃、盛りを過ぎて花弁の端から紫がかってきてからの風情を愛で る見方があり、『古今和歌集』においては、是貞の親王の家の歌合の歌として、「よみ人しらず」とされる以下の歌が挙げられます。 「色かはる 秋の菊をば ひととせに 再びにほふ 花とこそ見れ」 寒くなるにつれて色合いが変わっていく秋の菊を、一年のうちに二度、美しい色合いで華やぐ花であると見て、思うことよ、ということで、花盛りの花と、しおれかけながら紫や紅に色変わりした花と、両方を賞美しつつも、色彩の移ろいを、人の心変わりに見立てて詠んでいるようです。 今年も、日常の中で、菊の花を愛でたり、香りを嗅いだり、苦みを味わったり、その霊験や薬効を生活の中に取り入れながら、五感を働かせて思い切り秋を感じ、命も延びるような癒やされた心持ちで、穏やかに充実した時を楽しむことを心掛けましょう。 秋も深まる中、寒さが忍び寄ってきますが、今年は世の中も一旦は落ち着きを取り戻しているようなので、「菊晴れ」の爽やかな青空の下、澄んだ空気を胸深く吸い込んで、是非、晩秋の限られた貴重な日々を、有意義に送っていきたいものです。 地球に優しい環境対応印刷を推進する久栄社では、環境問題に取り組む必要性や、自然の尊さをお伝えしたいと考えております。このブログでは、四季折々の風情ある写真にのせて、古代中国で考案された季節の区分である七十二候をお届けする「七十二候だより」を連載しております。お忙しい日々の気分転換に、気象の動きや動植物の変化など、季節の移ろいを身近に感じていただけましたら幸いです。 \\\ ぜひこちらも合わせてご覧ください /// ▼運営会社久栄社のサイトはこちら ▼久栄社のFacebookはこちら ▼お問い合わせフォームはこちら
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| 2021-10-13 08:01
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